社会全体がカーボンニュートラルに向けて動き出すなか、私たちも取り組みを進める必要がありました。そこで立ち上がった新規事業の一つが、EVを軸としたスマートエネルギーのプロジェクトです。元々、シーキューブではETCや道路情報板、トンネル照明の設置を手掛けており、世の中がEVにシフトする状況を日々実感していました。このような背景もありEVを起点としたインフラビジネスの検討は必然的でした。そしてスマートエネルギーの設備を構築するにあたって、まず自分たちがメリットを体感するべきだと考えた結果、弊社三重支店（松阪市）を事業モデルの拠点としました。

まずは太陽光パネルを設置し、発電した電気を事務所で利用したり、EVに充電する設備を構築することにしたんです。しかし、EVに充電するだけでは、特に目新しさはありません。そんな時、ある記事で目にしたのが、EVへの充放電を可能にする『eLINK』でした。この装置があれば、私たちが目指すスマートエネルギー事業の付加価値となり、これからニーズも高くなると考え、『eLINK』を活用する当社事業モデルの構築に着手しました。

当初、設備構築にあたり、一番悩んだことはEV充放電器の知識が圧倒的に不足していたこと。そこで椿本チエインさんの京田辺工場へ足を運び、私たちが実現したい設備構成について相談を重ねました。三重支店を事業のモデルケースとして構築できたのは、そうした丁寧なフォローのおかげです。そしてサポート面はもちろん、機能面においても、私たちが目指すものを実現してくれたのが『eLINK』でした。

メーカーによって自社製品以外の機器との連動ができないケースや、推奨されないことが多いんです。そうすると、私たちが理想とする設備を実現しづらくなりますが、『eLINK』は非常に汎用性が高く、他社の機器と連動して制御する仕様でしたので導入しました。また筐体のデザイン性も導入を決めた理由でした。こうした機器は無機質になりがちですが、『eLINK』は白を基調としたスマートなデザインで、良い印象を与えられます。またオリジナルのラッピングが施せることも可能で、再生可能エネルギーの利用を訴求する企業や店舗へ導入を勧めやすくなります。

私たちの目指すスマートエネルギー設備は、企業のBCP対策の新しい選択肢になると確信しています。通常、停電が起こった際、太陽光でつくった直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナーが停止してしまいます。そうすると、停電時に太陽光で発電した電気が利用できない状態になります。そこで、私たちの設備では、停電してもEVからパワーコンディショナーへ電気を送り、太陽光発電を起動させる設備を構築しました。そうすることで、日常的に再生可能エネルギーを利用できることに加えて、BCP対策も兼ねた設備となります。

さらに充放電装置の三相への対応が進めば、本格的にBCP対策としての引き合いが増えることが想定されます。すでに福祉施設をはじめ、お問い合わせが増えてきていることからも、BCP対策のニーズを実感しており、そういった状況のなか、椿本チエインさんに伴走してもらえるのは心強い限りです。まだまだ課題も多いですが、新しい社会を創造していくことに貢献できる、その喜びをメンバーと共有しながらプロジェクトに臨んでいます。