次世代のエネルギー
マネジメントシステムを
築き、脱炭素への
ロードマップを描く。

次世代のエネルギー
マネジメントシステムを築き、
脱炭素へのロードマップを描く。

金沢工業大学 工学部 電気電子工学科
泉井 良夫 教授

金沢工業大学 工学部 電気電子工学科 / 泉井 良夫 教授

カーボンニュートラルの実現に向けて、変換ロスが少ない「直流給電システム」の構築をNTTアノードエナジー(株)様との共同事業(以下、本事業)で進めている金沢工業大学様。事業の目的や金沢工業大学様が思い描く電気を軸としたエネルギーの将来像、そして、『eLINK』が果たす役割について、本事業を指揮する泉井教授にお話を伺いました。

電気の常識を覆す直流給電システムを、いよいよ社会実装のステージへ。

本学ではかねてより、太陽光発電、風力発電などの「創エネ」と、リチウムイオン蓄電池やバイオマスの熱などによる「蓄エネ」を組み合わせ、“直流”で電気を供給するシステムの開発を行ってきました。直流に着目した理由は、電気の変換ロスを減らすため。電力会社の電気は交流ですが、パソコンやLED、電気自動車など、日常で使用する多くの電化製品は直流です。そのため、電気を交流から直流に変換する必要があり、大きな変換ロスが発生しています。一方、太陽光発電や蓄電池は直流のため、直流のまま電気を供給できれば変換ロスを減少させ、地球規模の課題であるCO²の削減に大きく貢献できます。

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金沢工業大学様では、地域企業との連携、共創拠点として先進技術の研究を行なっています。

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キャンパス内の体育館など2つの建物の屋上に、太陽光発電を設置。

またエネルギーレジリエンスの実現も本事業の大きな目的です。扇が丘キャンパス体育館は野々市市の拠点避難所になっていますが、この直流給電システムにより停電時でも長時間の電気の使用が可能となります。本事業では、これまでの実証実験を通して培った直流給電システムの知見と技術を、社会実装のステージに発展させるため、この扇が丘キャンパスを舞台に、NTTアノードエナジーさんと共同で合計160kWの太陽光発電設備、蓄電コンテナ、直流の配電線網を構築しました。

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公道を挟んで南北2つの校地からなる、扇が丘キャンパスの広さは約18万㎡。
この場所から、カーボンニュートラルの実現、さらにはエネルギーレジリエンスの強化を発信していく。

大学のCO²削減実績を、日本全体のCO²削減への糸口に。

直流給電システムを運用していくうえで欠かせないものの一つに、EVの活用があります。台風などで事前に停電の発生が見込まれる場合、あらかじめ電気をEVに貯めておいて、停電時に使用する計画としています。ここで必要となるのが、EVに電気の充放電を可能とする設備です。直流の充放電装置を日本国内で製造している企業のなか、技術性能と信頼性が圧倒的に優れていたのが椿本チエインさんの『eLINK』でした。

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パートナーとして椿本チエインは、様々な相談に細やかに応じてくれています。

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場所を取らないスリムなボディも採用のポイント。
キャンパス内に5台の『eLINK』を設置。

『eLINK』をシステムに組み込んだ本事業では、年間17万7000kWhの太陽光発電を見込んでおり、一般家庭換算で約42世帯分に相当します。また、CO²は年間約177トン削減が可能で、導入前と比較して約43%抑えられる計画です。しかし私たちは本学内のCO²削減がゴールだとは考えていません。6,000人以上の学生が在籍するこのキャンパスは、“一つの街”と見立てることができます。現在、日本国内では交流網が構築されていますが、本事業の取り組みは一つの街にとどまらず、いずれ様々な地域、そして、日本全体で交流と直流がそれぞれのメリットを活かして共存するスマートグリッド(次世代配電網)の実現にもつながるはずです。

交流と直流が共存する、最先端の未来をこの街から叶えていく。

近い将来、まずは周辺の市街地へも直流システムによる供給エリアを拡大していく構想です。周辺の太陽光発電や蓄電池といった地域リソースと連携しながら、大学だけでなく地域全体のエネルギーマネジメントを実現していきたいと考えています。この地域では自動車が生活必需品です。その一方で、最近ガソリンスタンドが少なくなっており、さらにガソリン価格の高騰という課題があります。このような地域で再生可能エネルギーと直流による配電網を確立できれば、誰もがEVを利用しやすい環境が生まれ、課題解決の一手になるでしょう。

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椿本チエインには『eLINK』単体の視点ではなく、事業全体を見据えた提案をお願いしています。

また高齢化社会が進むなか、自動運転の需要が高まっています。自動運転の技術はガソリン車よりもEVの方が制御しやすいため、EVにシフトできる環境を整えておけば、地域の未来のインフラにも活かされるはずです。今後、日本はもちろんのこと、世界の電力供給は、歴史的に構築されてきた交流システムだけでなく、少しずつ直流システムが導入されていくと予測します。これまでの当たり前を根底から変えていく、直流の配電網は大いなる可能性を秘めた技術だと確信しています。

泉井 良夫 教授 金沢工業大学 工学部 電気電子工学科
泉井 良夫 教授
今後、様々なものが電子化、スマート化していくと予想されます。そうしたなか、従来の交流と効率の良い直流の2つの電気が、それぞれの良さを活かしながら相互補完し共存できる未来を模索していきたいです。そして未来を構築する事業を学生が体感することにより、人材育成の機会となることを期待しています。

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