電気の流れを変え、
新たなエネルギーの
流れを生み出す

電気の流れを変え、
新たなエネルギーの流れを生み出す

椿本チエイン
パワーコントロールシステム部

椿本チエイン / パワーコントロールシステム部

『eLINK』の開発がスタートしたのは、EVの供給が始まった2011年。前例のない新たな挑戦は、多くの課題との闘いでした。その苦悩や解決、そして、開発者だからこそ見える日本のエネルギー事情の未来予想図について、開発当初から携わっているパワーコントロールシステム部の担当者に聞きました。

日常と、非常時に、“新しい安心”をつくりだす、開発プロジェクトが始動。

私たちが『eLINK』の開発に乗り出した大きなきっかけは、二つあります。一つは自動車がEVへの道を本格的に歩み始めたことです。弊社は自動車エンジンに使用するタイミングチェーンの製造を行っていますが、EVへのシフトに合わせて、私たちも進化する必要がありました。そして、もう一つのきっかけは、2011年の東日本大震災です。大規模な停電を目の当たりにし、災害時でも電力を確保できる社会の必要性を、私たちだけでなく、多くの人が体感したのではないでしょうか。

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平常時はEVの充電を行い、停電時にはEVと連携し、建物などへ電力を供給することができる『eLINK』

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マーケットや顧客の声を収集し、ニーズを先取りすることにより、世の中の流れを変えていきたい。

椿本チエインは物流倉庫向けの動力となるリニアモータや、搬送システム向けの非接触給電などパワーエレクトロニクス製品の開発と自社設備導入を以前から行っています。そこでこの技術を活かし、EV の充電と給電を実現する装置を開発できるのではないかと考えました。この装置の開発が実現すれば東日本大震災のような大規模な災害時でも、EV があれば電力が確保できます。『eLINK』の開発は私たち椿本チエインだけでなく、大規模な災害を経験した直後の日本においても非常に意義が大きく、社会に必要不可欠な存在になると確信し、開発を進めることにしました。

最大のミッションは、世の中のEV車種に対応する仕様を構築すること。

『eLINK』の開発にあたり、最も大きな課題は、どのEVにも対応する仕様をつくることでした。EVと充放電装置との接続に規格があったものの、初期の規格は自由度が高く、車種毎に細かな制御の違いがありました。その結果、規格に基づいた仕様を満たしても、思うように充放電ができないことが多々あり、その解決策は、当時全ての車種に対応したプログラムを構築することでした。

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スマートフォンみたいに『eLINK』が、世の中の当たり前のような存在にしたい。

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工場や事務所で活用される『eLINK』

そこで各車メーカーへ何度も問い合わせ、数えきれないほどの接続試験を繰り返したことを鮮明に覚えています。本当に気の遠くなるような工程でした…。 しかし、このような状況下でも、開発メンバーを突き動かすものがありました。それは、 “『eLINK』はきっと世の中を変える”という期待と熱意。その想いは、多くの車種で充放電可能な仕様の開発を支え、成功に導きました。そして、こだわったのはソフトウェアだけではありません。『eLINK』は老若男女が利用します。初めて『eLINK』を利用する人でも抵抗ないよう、操作性や見た目にも配慮する開発を現在も続けています。

充放電装置の枠を超えて、地域のインフラを支える拠点に。

供給初期のころ、横須賀市役所に設置した時のことは、印象深い記憶があります。
感慨深いというより、想定通りに動いてくれるか心配で…。案の定、同じ車種でも年式が違うとトラブルが発生しました。しかし、早急に対応した結果、実用化までなんとか辿り着けました。 その後も着実に実績を増やし、現在、『eLINK』は事業者向けの充放電装置の草分け的な存在となりました。しかしだからこそ、単なる充放電装置に留まりたくないと思っています。

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将来は電気で買い物ができる、そんな世界の実現に『eLINK』を通じて貢献したい。

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今後、様々な設置シーンを見据えて、デザイン面を追求した次世代型モデルの試行錯誤も行なっています。

例えば、『eLINK』によりEVが蓄電池の役割を果たすことで、地域の電力をマネジメントする未来が描けます。『eLINK』を起点に太陽光発電のような再生可能エネルギーや蓄電池、自家発電装置などの電源を束ねることにより、発電所のようなシステムの構築が可能です。このようなVPP(仮想発電所)が実現すれば地域の電力を自分たちで生み出し、供給できるようになります。世界情勢が不安定な世の中で、地域単位で電気をつくり供給できれば、そこで暮らす人々の大きな安心材料になるでしょう。単なる充放電装置ではなく、『eLINK』が地域のインフラとなる未来も、そう遠くはないと考えています。

開発担当 小山 晋吾 開発担当 小山 晋吾
近年、未曽有の災害が多発していますが『eLINK』を医療、介護、自治体などで導入いただけると、これまでにない安心安全な社会をつくり出すことができると信じています。
 生産担当 岡田 直樹 生産担当 岡田 直樹
今後、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーは広がっていくはずです。『eLINK』をきっかけに社会全体の電気の使い方に変化をもたらし、より良い未来づくりに貢献したいです。
設計担当 吉武 雅之 設計担当 吉武 雅之
椿本チエインの強みはなんと言っても対応力の高さ。これからも『eLINK』を利用する方に寄り添いながら、より社会に適応する製品を追求していきます。

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